刷毛供養会に参加しました

 私たち表具師にとって、仕事に欠かせない大切な道具「刷毛」。刷毛は、日々使うことによって毛先が徐々に磨耗していく消耗品。毛の部分は(たぬき)(むじな)、馬、鹿、羊、山羊など動物の活毛でできており、これらの動物の恩恵により、私たち表具師の日々の仕事が成り立っています。私の所属する京都表具協同組合では、臨済宗大本山 南禅寺において昭和32年以降、毎年8月1日に「刷毛供養会」を執り行なっており、今年で64回目となります。

 使い切って役目を終えた「刷毛」の恩恵に感謝の念を捧げ、活毛の提供者である「動物」たちの霊を供養するため、毎年8月1日を刷毛供養の日と定めています。また、表具の技術を生み出し、後世に残してくださった先人達を回顧して、冥福を祈り、自らの職業的使命を再確認するために毎年お参りしています。今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で組合員のみの参加で行われました。

南禅寺境内にある刷毛塚「波氣都歌」の碑