
大切な掛け軸を保存するために、主に桐箱が用られます。
その桐箱が傷ついたり、汚れないように「ちつ箱」(外箱)を作ります。尚仙堂では、「ちつ箱」をベージュ色の菊唐草紋の鳥ノ子紙でオリジナル手作りをして納めています。それは、自分の仕上げた掛け軸に対する感謝の気持ちと自分の仕事に対する責任感からです。
菊唐草紋の鳥ノ子紙にドーサを引き、ももけないようにコーティングします。その紙を無地鳥ノ子を2枚裏打ちし、合計3枚の合わせ紙にして、仮張にかけて丈夫な紙にします。
それを一つ一つ、桐箱の寸法に合わせて写真の様に裁断し、組み立てて行きます。

出来あがった「ちつ箱」です。手作りオリジナルなので当店限定の仕様です。
「ちつ箱」の蓋を開けるための紐は、年代ごとに色を変えています。それは、その表具と再会した時にいつ頃仕上げたものか? 直ぐ、わかるようにしたいからです。過去に仕上げた表具と再会するのは、少し緊張します。お客様のもとで不具合無く、無事にきちんと掛かっているだろうか? 折れたり、傷んでないだろうか? いつも、そんなことが頭の中をよぎります。