しみ抜き作業
掛け軸の本紙には、煤汚れとカビが原因と見られるシミが本紙全体に見られます(写真:左)
- 作業前に、墨と朱肉部分を洗いに耐えられるように、膠水等で定着させます。
- 本紙裏面にはレイヨン紙、表面は洗いネットで養生して、丁寧に煤汚れを落とします。
- 煤汚れを出した後、漂白剤でシミを除去し、殺菌を行います。
- シミを除去した後は、漂白剤成分が残らないように充分な還元処理を行います。
肌裏紙除去
- 洗い作業終了後、慎重に旧肌裏紙を除去します。本紙の状態を確認して、湿式で肌裏紙除去を行いました。
- 本紙のくすみは取れ、シミを除去できました。画仙紙の白さと透明感を取り戻しました。墨、朱肉等に変色・退色は生じておりません。
結果検証
尚仙堂ぴーちゃん
今回は効果的なシミ抜きができました。シミ抜きは、早いほど効果があります。また、本紙が新しいほど使用できる漂白剤の選択肢が増えます。但し、不用意な漂白剤使用は厳禁です。できる限り本紙にストレスを与えない配慮が必要です。