裂地の肌裏打ちの前には、必ず噴霧器を用いて地入れ(水引き)を行い、裂地に縮みを入れます。(写真:1)
これは、後から裂地に歪みが来ないようにするためです。尚仙堂では、古代絓などの後染の無地裂と繻子織(光沢のある本緞子)以外の裂地は全て地入れをしてから裏打ちをしています。繻子織は、地入れすると稀に縮みにより虎目のような光沢の変化が発生することがあるため、基本的に地入れはしません。
地入れの後は、歪みの無いように形を整えて、完全に乾くまで素干しをします。(写真:2)この方が、後の作業がスムーズで綺麗に柔らかく裏打ちすることができるからです。
裏打ちの直前も、紋様に歪みが無いよう盤面に真っ直ぐに延ばします。(写真:3)
濃い糊をひいた裏打紙を真っ直ぐに起きながら、刷毛で撫でつけます。(写真:4)
刷毛で完全に圧着させたら、完全に乾くまで素干をします。乾燥後、裂地の厚さ・弾力等を確認して、増裏打ち(2回目の裏打ち)の紙を選定します。

尚仙堂ぴーちゃん
最近、古代絓などの無地裂は真っ直ぐに水貼りし、作業台などに貼り付けて乾かしてから肌裏打ちをするようになりました。金襴でも試しましたが結果上々でした。手間は掛かりますが、確実な方法なのかも知れません。時々、有意義な発見をするとワクワクします。