掛け軸の製作には、様々な道具が必要です。一生使い続ける大切な道具たち、人生のほとんどの時間をこの道具たちと歩んできました。どの道具も自分の手癖に合わせたカスタマイズをしています。
裏打ち に必要な道具
肌裏打(1回目の裏打)では、糊の濃さのよって使用する刷毛を替えています。濃い糊の場合は、無地類毛(ムジナ)しごき刷毛を使用し、中糊には狸毛の二丁掛付け廻し刷毛(毛の量が2倍)を用います。表打ちには無地類毛の付け廻し刷毛を好んで使用しています。
増裏打(2回目)、総裏打(3回目)は薄糊を使うので、主に馬毛糊刷毛を使用しています。また、増裏打以降は打刷毛を使用します。使用する裏打紙によって使う打刷毛と力加減を替えています。ピンセットは使用目的に合わせて使います。糊を引いた裏打紙を引っ掛ける「掛け竹」も作業性を考慮して紙巾に合わせて使い分けをしています。
付け廻し に必要な道具
付け廻し作業には、馬毛または豚毛(強腰)の付け廻し刷毛を使用し、糊どめには狸毛を使用しています。へらはちょうど良い反り加減の鯨骨へらを主に使用しています。刃物類は状況に応じて使い分けています。金槌は付け廻し専用のものです。柄は長年の使用で右手の人差し指と親指に沿うような形になりました。打撃面は常に磨いて手入れをし、傷をつけないようにしています。
仕上作業 に必要な道具
両刃剃刀は三代にわたり使い続けている、とても大切な道具の一つです。片刃剃刀の裏を研いで両刃に改造してあり、多少調子に乗っても切れ過ぎないところがすごく気に入ってます。裏ずり用の数珠は、自分の手の大きさに合わせて玉の数を調整しています。留型は紙軸を真っ直ぐに切断するために使用します。釻の打ち込みにはやや小ぶりの金槌を使用しています。キリは、釻を打つのにピッタリの穴(大きさ・深さ)が開くようにしています。
どれも大切な道具です、これからも大切な仲間を紹介して行きます。